医療用ウィッグはこうして作られる

投稿日:2018年11月14日 更新日:

医療用ウィッグができるまで円形脱毛症や無毛症、抗がん剤治療による副作用やケガなどによって髪の毛が薄くなってしまったり、抜けてしまったりすることに悩んでいる人もいることでしょう。

そのような人ての、精神的な支えとなるのが医療用ウィッグです。

そんな医療用ウィッグを実際に利用したいと考えたときに、どのように作られるのかは気になるポイントでしょう。

そこで、今回は医療用ウィッグの製作工程について詳しく紹介します。

まずはウィッグのヘアスタイルを決める

ディスプレイされたさまざまなウィッグ医療用ウィッグを製作するための準備として最初に行われるのが、医療用ウィッグのスタイルを決めることです。

美容院で髪を切ってもらったり、セットしてもらったりするときにも、最初にどのようなヘアスタイルにしたいかを確認することが一般的となっています。

ウィッグを製作する場合にも、ヘアカットやヘアセットのときと同じように、目的に合わせた完成のイメージを事前に確認しておくことは必要です。

ウィッグのスタイルは大きく分けて二つのタイプがあります。

ウィッグを使用する目的や髪の悩みが人によって異なるためです。

まず、部分的に薄くなってしまっている場合に利用するものとして、部分ウィッグがあります。

部分ウィッグは、一部だけ薄くなっている頭髪を局所的に補ったり、ボリュームをアップしたりする際に便利なものです。

医療用として使用するケースでは、抜け毛の症状が進行していないときに使うことができます。

もう一つの種類が、フルウィッグです。

フルウィッグは頭全体を覆うため、脱毛症や抗がん剤の副作用などで頭髪の多くが抜けてしまっている人に対応しています。

現状では毛が抜けていなくても、将来的に脱毛の範囲が広がることを想定してフルウィッグを選ぶ人もいます。

ウィッグに使用する毛髪の素材を決める

次に行う毛髪の素材選びも重要なステップとなります。

使用する毛髪の素材や色の選択によって、完成したときの雰囲気が大きく変わるからです。

医療用ウィッグで使用する毛髪の素材には、

  • 人毛
  • 人工毛
  • 人毛と人工毛を混ぜて使用するミックス毛

の三つの種類があります。

価格面で見ると、もっとも高いのが人毛です。

見た目や手触りが一番自然な仕上がりとなる貴重な素材だからです。

人毛はパーマやカラーリング、コテなどを使ったヘアセットができるというメリットがあります

ただし、人毛でも、長さや毛の質などによって価格に差があります。

たとえば、通常よりもとくに長さのある毛は手に入れることが難しいため、価格は高い傾向です。

一方、乾燥していて切れやすい毛は長持ちしにくいため、人毛でも価格は安くなっています。

人毛のなかでも最高級といわれているのが「レミー人毛」です。

人毛と思えないようなさらさらとした手触りがあり、きちんと手入れさえしていれば美しい状態が長持ちするという点から、高い評価を得ています。

人工毛はその名のとおり人工的に作られた毛で、人毛に比べて安価な毛です。

ポリエステル系の化学繊維などからできており、人工的に作ることができるため価格が抑えられています。

人工毛というと化学繊維特有のテカリ強く不自然でしたが、商品開発により品質が向上し、人の毛に近いナチュラルな見た目を持ったウィッグは多くなっています

耐熱性に優れたものも増え、ヘアアイロンを使用してスタイリングを楽しむことも可能です。

軽量でメンテナンスがしやすいといった点もメリットとなっています。

ただし、人毛のようにカラーリングをすることはできません。

どんなに人毛に近い見た目であったとしても、あくまで人工毛であることに変わりはないからです。

最後の一つが、コストと品質のバランスが取れているミックス毛です。

人工毛に3~4割程度の人毛を混ぜてウィッグを製作しています。

このため、価格を抑えながら自然な風合いを出すことが可能になっています。

ミックス毛は自然毛と人工毛のそれぞれのいい点を活かしたウィッグなのです。

関連記事:医療用ウィッグの失敗知らず!これが正しい選び方

ウィッグに使用する髪の毛の色を決める

髪の毛のサンプルをチェックする手医療用ウィッグでは、素材とともに髪色の選びも大切な製作工程です。

ファッションを目的としたウィッグとは異なり、医療用ウィッグはより自然な髪に見えるものを求める人が多いからです。

装着したときに違和感のない仕上がりとするためには、もともと生えていた髪の毛の色や年齢に合わせた色を選ぶ必要があります

ウィッグを製作する際に参考にする髪の毛がすでになくなっているときには、瞳の色で判断する方法もあります。

瞳の色と比べて少し明るめの色をした髪の毛を選ぶと、自然に見せるウィッグを作ることができます。

瞳の色よりも濃い色の毛を選ぶと、実年齢よりも老けて見えるとされています。

ウィッグのベースを決める

ウィッグの毛を植え込むベースも、ウィッグ製作に必須のアイテムです。

そして、ベースにも主に二つの種類があります。

一つが網目状の繊維を用いたネットベースです。

ネットベースは軽量で通気性がよいというメリットがあります。

ポリウレタンやシリコンなどの樹脂を原料とし、人間の皮膚に近い人工皮膚で製作されるのがスキンベースです。

網目状のネットベースと比べると通気性が悪く、使用が長くなると劣化しやすいというデメリットがあります。

しかし、人工皮膚はしっかりと頭皮に密着させることができ、自然な見た目を再現することが可能です。

また、ベースに植えている髪が抜けやすい点も注意です。

医療用ウィッグとして使う場合、スキンベースだけのものを使用するか、部分的にネットベースも組み入れて使用するかの、どちらかのパターンであることが多くなっています。

ネットベースと組み合わせる場合には、分け目部分にスキンベースを使用することが一般的です。

分け目は肌が露出されやすい箇所となっているためです。

ウィッグのベースへの植毛作業

ベースと毛髪が決まったら、ベースに毛髪を植える作業となります。

毛髪の植え方には、機械により植え付けていく方法と職人が手作業で1本1本植えていく方法があります。

機械を用いる方法では、通常、ベースとなる生地と毛髪を裁縫することでウィッグを作りあげていきます。

機械による植毛は、ファッション用のウィッグ向けの製作方法となっているケースが多く、医療用ウィッグの製作の際には行われません

裁縫することでベースに縫い目ができ、皮膚と密着する部分がフラットにならないからです。

縫い目の凹凸が皮膚にチクチクとした刺激を与えることがあるため、長く装着していることの多い医療用ウィッグの利用者には向いていない植毛方法とされています。

医療用ウィッグで多く用いられるのは、手作業による製作方法です。

手作業でネットベースに毛を植える場合には、専用の針を用いてベースネットの網目に髪の毛を1~3本ずつ結び付ける作業が行われます

スキンベースへの植毛の場合は結び付けるのではなく、専用の接着剤やテープなどを用いて人口皮膚に直接植え付けていきます。

植毛にはほかにも、手植えと機械作業の両方を用いて植毛する半植えという方法もあります。

半植えは価格を抑えることができる方法です。

目立たないところを機械作業にすることで、高い技術を必要とする職人の手を入れずに効率よく作業を進めることができるためです。

つむじなどの目が付きやすい箇所は職人が行う手作業とするため、品質への安心感も持つことができます。

ウィッグ製作後のアフターケアとヘアスタイルの加工

植毛作業が終わると医療用ウィッグとしての形は整いますが、これで作業がすべて終了するわけではありません。

最後に洗浄が行われます。

作業途中に、ウィッグに異物が付着していることもあるからです。

医療用ウィッグを製作する場合には、とくに衛生面にも気を遣わなければいけないケースもあります。

さらに、使用する人に合わせたスタイリングに加工することも必要な製作工程です。

髪の毛のボリュームや毛の流れなどを微調整することで、より自然な仕上がりにできるからです。

必要に応じて、植え付けられている毛髪をカットすることもあります。

ウィッグ製作工程を知り、自分に合ったウィッグ選びを

肩を寄せ合う笑顔の女性三人医療用ウィッグの製作工程を詳しく知っておけば自分に合ったウィッグ選びをすることができるようになります。

ヘアスタイルや毛髪、ベース、植毛方法などの数ある選択肢を事前に把握しておくことによって、自分に適した方法で製作された医療用ウィッグを正しく選ぶことができるようになるからです。

医療用ウィッグは価格とともにさまざまな種類が出ています。

後悔のないように上手にウィッグ選びをしましょう。

関連記事

表彰台を指さす手

医療用ウィッグならここ!おすすめメーカー5選

抗がん剤による影響で髪が抜けてしまった方や、薄毛の症状を抱える方などの悩みを和らげるために、医療用ウィッグ(かつら)が助けとなる場合があります。 医療用ウィッグとは、病気やケガなどで髪を失ってしまった …

部分ウィッグを手に持つ女性

医療用ウィッグで失敗したくないなら店舗購入!

最近耳にする機会が増えてきた、医療用ウィッグ。 JIS規格も適用され、品質も保証されるようになりました。 百貨店の中に出店するなど全国で展開するメーカーもあり、気軽に立ち寄ることもできるようになってい …

日差しに手をかざす女性

夏の医療用ウィッグは暑さ対策で快適に!

医療用ウィッグを使用している方にとって、夏は憂鬱な時期です。 ただでさえ暑いうえに、ウィッグをかぶっていることで頭皮がさらに熱を持つためです。 汗を大量にかけばメイクも崩れてしまいますし、放っておけば …

指を立てて「3」のジェスチャーをする女性

使い終わった医療用ウィッグの処分方法は3種類

医療用ウィッグは、抗がん剤治療や脱毛症などと戦う患者が使用するものです。 では、病気が完治した場合、不要になった医療用ウィッグはどうしたらいいのでしょうか。 医療用ウィッグはファッションウィッグより高 …

カットした髪を手に持つ女性

医療用ウィッグは自分の髪でも制作できます

医療用ウィッグを用意したいけれど、人工毛や見知らぬ人の髪の毛ではなく自分の髪を使用したいと考える人もいるでしょう。 自毛を使ったウィッグであれば、違和感なく馴染むはずです。 今回は、自毛を使って医療用 …

毛髪サンプルをチェックしている手

医療用ウィッグを購入するなら展示会もおすすめ

抗がん剤によって髪が抜けてしまうと、体調がよくなっても外出することをためらってしまう人が少なくありません。 気持ちがふさぎ込むことは、治療にも影響を与えます。そこで利用したいのが、医療用ウィッグです。 …