周辺知識

医療用ウィッグの購入に保険は適用されるの?

投稿日:2017年7月5日 更新日:

抗がん剤などの使用による脱毛をカバーしてくれる「医療用ウィッグ」。
なければ命に関わる…というものではありませんが、特に女性や若い世代の方にとっては、鏡を見るのがつらかったり、人に会いづらかったりするといった悲しみを和らげてくれる存在です。
ところで、こうした医療用のウィッグは高額になりがちですが、3割負担の健康保険が適用されるのでしょうか?

公的な医療保険からの補助は受けられない

医療用ウィッグはファッションウィッグと違って、土台(スキン)部分に特殊な素材が使用されていたり、不自然さを隠すために高級ファイバーや人毛を用いていたりと、かなり精巧に作られています。
また、頭部に手術跡や外傷が残る場合などは、患部に直接触れないよう特殊な内部構造になっていたり、市販のものをさらに改造して使用したりすることもあります。
こうした工夫は、闘病中やケガの治療中である患者の生活の質(QOL)を向上させるために施されているわけですが、その分どうしても、商品そのもののお値段は高めになってしまう傾向です。
頭部全体を覆うフルウイッグだと、安いものでも1万円前後、オーソドックスなもので3~4万円ほどになります。
特殊な形状のものや、オーダーメイドで制作しなければならない場合は、20万円を超えることも珍しくありません。
こうした出費に対して公的健康保険制度が適用されれば、多くの方は3割の負担で済むのでありがたいのですが、残念ながら2017年6月時点では、医療用ウィッグは公的健康保険制度の適用外となっています。
公的健康保険の適用対象となるのは、病気やケガの診療費や入院費、そして薬代や医療器具などです。
医療用ウィッグもそのはたらきを考えれば、医療器具のひとつとして考えられてほしいものですが、病気やケガの治療を直接の目的とした物品ではないと認識されているようです。
一方、業界団体が医療用ウィッグの保険適用化に向けて、さまざまな運動を行っています。
実際にヨーロッパの一部では健康保険の対象とされている国もありますから、将来的には日本でもこうした商品が、公的健康保険の対象となる可能性はゼロとはいえません。

医療費控除の仕組みと医療用ウィッグが控除対象にならない理由

自治体によっては特別な補助が出る場合も

医療用ウィッグが公的健康保険の対象外とされる一方で、がん治療の副作用による脱毛をカバーする目的での購入であれば、費用の一部を補助してくれる自治体もあります。
例えば横浜市では、がん患者で、抗がん剤治療などの副作用に対処するためにウィッグを購入した人のうち、申請日時点で横浜市内に住民票がある人なら、購入助成金として最大1万円が交付されます。
ほかにも秋田県にかほ市では、市民が医療用ウィッグだけではなく、乳房切除者向けの乳房補正具の購入した場合についても、1万5,000円を上限とした補助を受けられます。
市区町村だけではなく、県が主導して取り組んでいることもあります。
山形県の場合は、助成対象者1名につき、2万円または購入経費の2分の1のいずれか低い額の助成金です。
市町村役場が提出窓口となっている上に、家族や美容室による代理申請、郵送での申請も可能とのことです。
治療や身の回りの世話に必死になっている患者とその家族にとっては、ありがたい心づかいといえます。
こうした補助制度は、闘病中の住民の経済的負担を軽減すると同時に、患者本人や家族の生活の質を向上させ、早期の社会復帰を後押しするために行われています。
医療用ウィッグが患者の社会生活を支える存在であるということは、公的にも認識されているわけですから、堂々と申請し、活用してください。
利用者がいることで、その制度はこれからも維持され、将来の患者さんの助けにもなるのです。

 
なお、補助金の交付を行っている自治体の大半が、受け取るための申請に期限を設定しています。
横浜市の場合は、購入日から1年以内の申請が必要です。
購入を検討している方は早めに、お住いの自治体の制度について確認しておきましょう。
また補助金の申請にあたっては、お薬手帳や心療明細書など治療の経過を証明する書類のほか、対象となる医療用ウィッグ購入時の領収証も必要となります。
医療用ウィッグを購入する際には、「公的健康保険の対象にならないから」といって領収証を捨ててしまうのではなく、大切に保管しておいてくださいね。

医療用ウィッグの購入費をカバーする医療保険も

医療用ウィッグがもたらす心理的効果や、その購入費用がかさむことが知られるに伴い、民間の医療保険の一部にも、その出費をカバーする商品が登場しました。
例えば、AIU保険のメディカル総合保険「スーパー上乗せ健保」
この商品は、健康保険の一部負担金や差額ベッド代といった費用を補償する上乗せタイプ医療保険なのですが、このなかでは「回復支援費用保険金」として、医療用ウィッグの購入費用のほか、乳房の再建手術費用などを補償してくれます。
ちなみにこのAIU損害保険株式会社は、2014年3月に、毛髪業大手で医療用ウィッグの提供も行っているアデランスとの業務提携を発表しています。
このことからも同社が医療用ウィッグによるがん患者の「生活の質」の維持・向上効果に理解を示していることが読み取れます。
今後も医療用ウィッグの購入費用をサポートしてくれる商品を期待したいですね。

がん保険の一時金を充てて購入

医療用ウィッグの購入費そのものを補償する保険はまだ少ないのですが、がん保険のなかには、(初めて)がんと診断された時点で、まとまったお金を受け取れるものがあります。
「がん診断給付金」という名前で説明されるケースが大半ですが、このお金は入院や治療の開始を待たなくとも、診断が確定した時点で支払いを受けられます。
使い道は自由なので、当面の治療費や生活費に充てるほか、ここからウィッグの購入費を用意することもできます。
診断給付金は、入院日額が設定されているがん保険に付帯している場合が多いのですが、診断給付金だけをプラスできる上乗せ保険も販売されています。
例えば、AIG富士生命のがん保険「新がんベスト・ゴールドα」は、初めてがんと診断されたとき、最大で300万円の一時金を受け取ることができます。
近年のがん治療入院の短期化に伴い、こうした一時金の給付に特化したタイプのがん保険商品は増えてきています。
自分の加入している保険の補償内容を確認しながら、検討してみてください。

医療保険の一時金を充てて購入

医療用ウィッグが必要となるのは、がん治療の場合だけではありません。
やけどや脱毛症、交通事故などによって頭部を損傷した場合も、医療用ウィッグの助けを借りたいと思うケースが出てくることでしょう。
実は医療保険にもがん保険同様、使い道自由な一時金の給付に特化した商品が出ています。
同じくAIG富士生命の医療保険「医療ベスト・ゴールド」は、日帰り入院であっても10万円の一時金が受け取れます。
1泊以上の通常入院なら20万円が支払われますので、がん治療以外での医療用ウィッグ購入にも利用できますね。
もう少しコンパクトな保障で、保険料を抑えたい場合は、医療保険ではなく、損害保険会社の傷害保険を検討してもいいかもしれません。
例えば、au損保の傷害保険「ケガの保険日常の事故」ゴールドなら、ケガによる3日以上の入院に対して、一時金2万円が支給されます。
こちらの保険は入院給付金や手術保険金もセットになっていますから、ケガで頭髪を失った場合なども、退院後のケアを支えてくれるはずです。

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